ギフトコンシェルジュに聞く贈り物のマナーとコツ
季節のご挨拶からお世話になった際のお礼まで、
社会⼈にとってさまざまなシーンで活躍するのが「ちょっとした贈り物」。
気の利いたギフトをチョイスして相⼿に喜んでもらいたい所ですが、
いざとなるとなかなか悩ましいものです。かえって相⼿に気を使わせてしまったりしては、
せっかくの気持ちも逆効果になってしまいます。
そんな⼤⼈の嗜みとして、ギフトに関するお話を
ギフトコンシェルジュの真野 知⼦さんに伺いました。
chapter 01
ギフトのヒントを提供する仕事
ギフトのヒントを提供する仕事
ー ギフトコンシェルジュとはどのような仕事ですか?
ギフトコンシェルジュというと、最近では百貨店など店舗での顧客サービスとして冠婚葬祭のマナーに沿ってお客様のサポートをされている⽴場の⽅が多いようです。私の場合はマナーの教⽰は⾏っておらず、気軽に贈り、贈られることを楽しめるようなヒントを提供できるように「贈りものシーンに合わせたギフト選びの考え⽅や、具体的なモノやコトのセレクト」ということを軸に活動しています。⼿⼟産など⽇常的なギフトからハレの⽇の贈りものまで、⽇々の⽣活の中にあるさまざまな贈りもののシーンに合わせてギフトを選定しています。そこを軸にギフトアイテムの初歩的なコンセプト作りから、商品開発やプロデュースに携わるケースもあります。
贈り物選びは相⼿を思う時間
ー 贈り物を選ぶ際のコツなどはありますか?
ちょっとした⼿⼟産から季節のご挨拶、ライフイベントのお祝いなど、贈り物にはさまざまなシーンがありますが、いずれにしても相⼿のライフスタイルになじむ物かどうかがポイントだと思います。それは、相⼿の暮らしに彩りがうまれる品物であるかどうかということです。受取⼿には贈りもので頂いたその品物があるからこそのひとときがうまれます。家族で⾷卓を囲む時間、または⼀⼈でホッと⼀息つける時間、そういった⽇常に⾄福の時間を贈ることができるのが贈り物の素晴らしいところではないでしょうか。そういうことが“贈って嬉しい、もらって嬉しい”の素敵な連鎖の始まりだと考えています。
贈る相⼿にご家族がいるのか、⽢いものが好きかそうでないか、趣味や興味のあることを聞いたことがあるかなど、そうした背景が分かればギフト選びのヒントになりますし、それが分からない場合は、⽼舗や専⾨店の定番ではなく季節限定品や店舗限定品を選ぶと技が効いていると思います。そうしたことをベースに⼀⼈暮らしの⽅には賞味期限の⻑いものを選ぶだとか、お⼦さんがいるご家庭には⼦供も喜ぶ物を選ぶなど、ちょっとした配慮もあるとよりよい贈り⽅ができますよね。
ギフトは新鮮な驚きとの出会い
ー 贈り物に日用品などを選択するのはどうでしょうか?
ギフトを贈られる立場で考えれば、「頂き物」は新しい出会いであることが多いはずです。そういった意味では、新しい機能を搭載したアイテムなどは新鮮な驚きがあって良いかもしれません。今回、SOLADAYシリーズを試させて頂きましたが、歯ブラシとしての使い心地の良さはもとより、水と光だけで歯垢が効率的に落とせる機能を持った歯ブラシがあることを知らなかったので、興味が持てました。食べる物でも日常的に使うものでも、そういったささやかな驚きが相手の暮らしに彩りを添えるのだと思います。
相手を想う気持ちを託せる一品との出会い、それも贈る側の醍醐味です。
相手との距離感=関係性に配慮すること
ー エチケットアイテムなどを贈る際に気をつけた方が良いポイントは?
記念品など不特定多数の方に贈る場合には、特別な意味合いが含まれるケースは少ないので特に配慮は必要ないと思いますが、日常的に使うエチケットアイテムを贈る際は、デリケートな部分もあるので誤解を与えないように気を配りましょう。相手との距離感も考慮した上で、なぜ、あえてそのアイテムを選んだのかという想いをメッセージにして伝えてあげることが大切だと思います。
たとえば歯ブラシなどの場合、留学や転勤で海外に行かれる方に、日本人に合った歯ブラシとして差し上げれば応援や励ましの意図も汲み取れますし、海外生活の中でかゆいところに手が届く気の利いたギフトになるでしょう。ご家族やお世話になっている年配の方へなど、健康を気遣う間柄でのギフトとしても効果的だと思います。逆に、相手のライフスタイルや好み、家族構成などプライベートなことまで話せる間柄でない場合にはもう少し気軽に使えるもののほうがおすすめです。生活用品なら入浴剤やタオルなどの消耗品が無難ですが、ポイントは日常では少し背伸びしないと買わないような品質の良い物を選ぶこと。普段自分では買わないアイテムを頂けるというのは、素敵なサプライズや出会いの良いスパイスになります。
ラッピングやカードもギフトの一部
ー ギフトをより魅力的に感じてもらうコツはありますか?
ギフトを贈る時はアイテムにばかり気持ちが行きがちですが、メッセージカードやラッピングがギフトの第一印象を決めるものなので、贈り物の大切な要素のひとつです。ラッピングは後に残らないものですが、より気持ちを込めたい場合には、リボンにその季節らしいモチーフやチャームなどをプラスしたり、メッセージカードを使ってユーモアやセンスで技を効かせてみるのもおすすめです。わー素敵!と思わせたいか、クスッと笑わせたいか、そんな事も考えながら自分らしい演出ができると思います。どちらにしても、贈りたいと思った理由とその品物を選んだ理由を伝えることは大切です。「ありがとう!」の一言でも、手書きには想いや人柄が現れるので、たとえ中身がささやかなものでもカードを添えるひと手間は惜しまないように心掛けましょう。
失敗もコミュニケーションだと思って恐れない
ー 贈り物の失敗が怖くて躊躇してしまうこともあります。
私も手土産をお持ちしたら「甘いものは苦手」といわれてしまったことがありました。その時だけをみれば成功とは言いがたいのですが、長くお付き合いすることになる相手であれば、それは相手を知るという観点で関係がひとつ深まったと考えてもよいと思います。そういうことがコミュニケーションで、よりよい関係を築いていけるのです。何かギフトで失敗したと感じることがあった人は、気を落とさずに、その新しい発見を次に活かすように気持ちを切り替えていくことをおすすめします。少なくとも、相手のことを考えた心遣いや気持ちは伝わっているはず。
「気は心」の気持ちで!
ー 上手に贈り物ができるように、日頃からできることはありますか?
贈答は言い換えれば、物を介しての気持ちのやりとり。もちろん、マナーや慣習などは大人の常識として身につけておいた方が好ましいですが、冠婚葬祭以外の日常的なギフトにおいては過剰に恐れることはないと思います。私は「頂き上手は贈り上手」ということを感じているのですが、気の利いた贈り物をされる方は、人からもよく贈り物をされていることが多いように感じます。ちょっとした会話から相手のことを推し量り、折を見て日頃から良いなと思ったものに一筆添えて贈る。同様に人から頂いたものからもセンスや技を学んでいけば、きっと贈り物選びが楽しいものになると思います。ただし、自分に負担にならず、相手も気負わず受け取れる物や価格を選ぶことにも心がけてください。
ギフトコンシェルジュ
真野 知⼦-Tomoko Mano
著書「⼤切な⽇のためのギフトマニュアル」マーブルブックス刊。⼿⼟産など⽇常的で⾝近なギフトから、引出物などハレの⽇の贈り物まで、多彩な贈りものシーンに合わせたモノやコトを選定。メディアへの出演や⼥性誌での連載、選考委員、商品企画、プロデュース業など多岐にわたる。
連載記事執筆中
・The New York Times Style Magazine⽇本版「真野知⼦の贈りものごよみ」
・an・an 「FOOD NEWS 真野知⼦のおいしいギフト」
・The PROFESSIONAL WEDDING 「good things make the day brighter」
メディア出演
・TBS「マツコの知らない世界」〜⼈と差がつく⼿⼟産の世界〜
・TBS「王様のブランチ」 絶品技あり⼿⼟産ランキングBEST5
・フジテレビ「ノンストップ」取り寄せてでも⼿に⼊れたい!夏の絶品!意外な⼿⼟産
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