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製造の職人がこだわるSOLADEY N4の品質

歯ブラシの職人たち

“自分を磨ける歯ブラシ”をテーマに生まれたSOLADEY N4。
その一本には、さまざまな職人の技術と経験と思いが注がれている。
今回登場するのは、株式会社稲田歯ブラシ専務取締役の橘氏。
創業80年が裏付ける確かな技術と品質、
SOLADEYに対するものづくりについて伺った。

歯科専売の歯ブラシを、ご家庭で使っていただきたい。そういう思いから生まれたブラシです。

歯科専売の歯ブラシを、ご家庭で使っていただきたい。そういう思いから生まれたブラシです。

-N4では、ブラシの先端が突起した「先端ポイント毛」のブラシが採用されています。ブラシ部分は稲田歯ブラシさんに製作していただいていますが、誕生の経緯について伺えるでしょうか。

市販されている歯ブラシではあまりない形状ですが、こんなふうに先が山のように出っ張った歯ブラシというのは歯医者さんではよく扱われているんです。奥歯がきちんと磨ける形状なんですね。でもそれは大体、歯科専売品(=ほぼ歯科医院だけで販売される商品)なので、一般の方が使う機会はなかなかありません。
ウチでもN4を開発する時に、シケンさんからこういうブラシを作りたいと依頼されて初めて作りました。
しかしね、見た目よりも手間がかかった製品なんですよ(笑)。ブラシの毛を植えて、一度カットします。その後、もう一度カットして山を作っているわけです。ちょっとでも毛束がズレるとこういう形にできませんから、これは治具(歯ブラシを固定するための道具)の調整なんか手作業です。半分手作りと言ってもいいですね。

先細毛はカット厳禁ですから、揃えるのは大変なんですよ。

先細毛はカット厳禁ですから、揃えるのは大変なんですよ。

- 稲田歯ブラシさんでは、SOLADEYシリーズのスペアブラシを全種類作ってらっしゃるんですよね。9種類もあるわけですが、製造が特に難しいものはありますか?

技術的には先細毛のものが難しいと言いますか、やはりウチならではのブラシですね。歯ブラシの毛というのは、小さな毛束を2つ折りにして、Vの形にしてヘッドに植え込んでいるんです。一般的な歯ブラシの場合は、そのあとカットして毛先を揃えています。でも、先細毛の場合はそうしてしまうとせっかく細くした毛先が死んでしまう。それで、あらかじめピッタリの長さにした毛を揃えて植え込む必要があるんです。口で言うのは簡単ですが、なかなか大変なことでね。毛の先端が細くなっていく「先端先細加工」の歯ブラシ商品化に成功したのは、弊社が初めてなんです。今ではごく普通に販売されていますが、画期的なことなんですよ(笑)。
SOLADEYでもぜひ使いたいとおっしゃっていただいて、SOLADEYのスペアブラシのラインナップに先細毛のものが加わったわけです。

JIS規格の2倍以上、毛が抜けにくいブラシなんです。

JIS規格の2倍以上、毛が抜けにくいブラシなんです。

- 稲田歯ブラシさんでは、他社さんの製品もたくさん作っていますが、シケンの歯ブラシならではと思われることはありますか?

一つ言えるとしたら、シケンさんは品質に関して非常にこだわりを持っているということですね。池尻さんもよく仰るんですが、高い歯ブラシだからこそクレームにもなりやすいと。一本100円の歯ブラシの毛が抜けても「100円だからなあ」で済ませる人がほとんどですが、ソラデーシリーズはもっとずっと高価ですから、ちょっとのことで不具合が生じたら、「高いのに粗悪品じゃないか」と言われかねない。品質にこだわらないと、評価してもらえないわけです。
ですから、ウチでもそこには非常に気を使っています。たとえば、歯ブラシの毛の「抜けにくさ」。JIS規格では、8Nの力で引っ張っても抜けない強度を保つように定められていますが、稲田歯ブラシではその2倍以上の“引っ張り強度”を独自の基準にしています。ソラデーシリーズの場合は20Nまで耐えられるように作っていますから、一般の歯ブラシよりもずっと毛が抜けにくいわけです。そういうところで努力していくことが、ブランドを守ることになるんじゃないでしょうか。

ものづくりの町にあるということ自体が、実は大きな財産。

ものづくりの町にあるということ自体が、実は大きな財産。

-東大阪は「歯ブラシからロケットまで」と言われるほどのものづくりの街ですが、だからこそできた!と思われることはありますか?

そもそも、東大阪の街で歯ブラシが作られるようになったのは、江戸時代にこの地域で作られていた「河内木綿」が明治維新後に廃れたため、代わりの産業として岩倉具視が歯ブラシづくりを命じたからなんだそうです。それが今では地域に根付き、弊社もその流れとして歯ブラシを作り続けています。昔作っていたのは木綿でしたが、きっと物をコツコツ作るのに向いた土地柄なんでしょうね。歯ブラシの会社だけではなく、いろんな物を作っている会社があちこちにあるので、こっちの会社の得意なものと、あっちの会社の得意なものを持ち寄れば、どんなものでも作れるわけです。実際、シケンさんと弊社のお付き合いもそんな風に始まっています。
ですから、具体的にこれ!と挙げるのはむずかしいですが、ものづくりの町にあるということ自体が、実は大きな財産なんだと思います。まわりは全部オフィス街で、ウチだけぽつーんと歯ブラシ工場やってたら…(笑)。こういう会社になってないかもしれないですよね。

 

高付加価値の商品づくりに貢献できていることを嬉しく思っています。

高付加価値の商品づくりに貢献できていることを嬉しく思っています。

- 最後に、初代ソラデー製作時から、稲田歯ブラシさんにはお世話になっていますが、ソラデーという歯ブラシについて、どんな想いをお持ちですか?

シケンさんとのお付き合いも、もう35年になりますか。
ソラデーシリーズは発売当初から、普通の歯ブラシに比べるととても高価な歯ブラシでした。このN4にしても、一本2,500円するわけですから、電動歯ブラシでもない限り、普通の人は歯ブラシになかなかこの金額を出せないでしょう。
それでも売れ続けて、ちゃんと固定客を掴んでいるのは、商品自体がしっかりとしたものだからだと思います。他の歯ブラシにはできないくらいツルツルになるとか、歯垢そのものを分解するとか。
高付加価値商品を作りたいというのは、今どこのメーカーでも考えていることですので、早くからそれに取り組み、成功されているのは、ソラデーに関わっているメンバーからしても素晴らしい(笑)。
そして、私たち稲田歯ブラシの技術がそこに貢献できていることを嬉しく思っています。先々代(稲田常次郎氏)からシケンさんとお付き合いを続けていますが、それは一貫して変わらない想いです。
これからも努力を怠らず、良いものづくりを続けていきたいですね。

SOLADEYヘッドブラシの作り方

SOLADEYヘッドブラシの作り方

⓪あらかじめ適当な長さに揃えられたブラシ用の毛。先細毛は、細いところでは0.02ミリ強の太さしかない。

SOLADEYヘッドブラシの作り方

①ヘッド本体を治具に固定する。この短い本体(ショートハンドル型)ブラシの製造は、稲田歯ブラシが得意とするところ。

SOLADEYヘッドブラシの作り方

②ヘッド本体に開けた穴に、ブラシの毛をV字に折り込みながら植毛する。

SOLADEYヘッドブラシの作り方

③毛を植え込んだもの。平らなブラシの場合は、最後にブラシの毛をカットして揃え、機械で転がして毛先を「丸める」。これでブラシ部分は完成。

SOLADEYヘッドブラシの作り方

④最後に目視による検品を行う。

SOLADEYヘッドブラシの作り方

⑤工場全景

町工場の現場

町工場の現場

①稲田歯ブラシは先細毛ブラシの開発などにより、中小企業庁「元気なモノづくり中小企業300社」にも選ばれている町工場。

町工場の現場

②会社玄関のショーケースにはSOLADEY-2も並ぶ。

町工場の現場

③工場入口には、様々な太さ・材質のブラシ毛が。

仕事に欠かせないアイテム

仕事に欠かせないアイテム

毛丈を測る定規・毛の密集具合を調べるルーペ・細部を測る電子ノギスの3点セット。実は電子ノギスはシケンの遠藤から「橘さん、今は便利なものがあるんですよ」と教えてもらったものだとか。

仕事に欠かせないアイテム

デスクには歯ブラシが何種類も。

株式会社稲田歯ブラシ 専務取締役
橘雅三

株式会社稲田歯ブラシ 専務取締役 橘雅三

歯ブラシに携わり22年。今でも現場を大切に自らドラッグストアなどお客様先へ赴き交渉なども全て行っています。常により良い製品を皆様にお届けする事を目指しております。

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