開発の職人が語るSOLADEY N4誕生秘話
“自分を磨ける歯ブラシ”をテーマに 生まれたSOLADEY N4。
その一本には、さまざまな職人の技術と 経験と思いが注がれている。
今回登場するのは、シケン代表取締役の池尻誉広。
企画段階から携わってきた開発の職人が、SOLADEY N4の原点を明かす。
入社は、割とふわっとした動機でした。
-シケンには歯ブラシに興味があって入社したんですか?
いやー、元々はそんなに(笑)。僕は大学で化学を専攻していたんですが、化学的要素を使った歯ブラシを作っているというこの会社の求人票を見て、「あ、これいいかなあ」と思ったのが入社のきっかけです。割とふわっとした動機でしたが、この仕事は思っていた以上に面白く、いろんな出会いを得ることができて、SOLADEYを通して自分自身がすごくいい経験をさせて頂いていると思っています。
全てを実現すれば、ブランディングに活かされると確信していました。
- SOLADEY N4の開発の中心メンバーとして、初期から関わってきましたよね。
N4開発のきっかけを覚えていますか??
うーん、N4開発に取り組み始めたのは約3年前ですね。
当時のSOLADEY-3をどうパワーアップさせたらいいか?というのが課題だったんですよね。そして、ブランディングを強化したいとも考えていましたし、生産コストが上がってきたことも一つのきっかけでした。SOLADEY-3は発売当初に比べるとステンレスの原価も上がりましたし、海外の工場で作っていたので、人件費もどんどん上がってくる。販売価格は簡単に変えられませんから、その二つの問題をどうにかしないといけません。その答えとして、ステンレスから樹脂製にすることで材料費を抑えるとともに色のバリエーションやデザインの自由度が高まります。また生産拠点を国内にすることで品質の安定性にもつながります。難しい課題でしたが、機能・デザイン・品質の全てを実現すれば、その流れも全てブランディングに活かされると確信しておりました。
こんなに試作品を作る歯ブラシは、他にないと思いますよ。
- SOLADEY N4の試作品を紹介してください。
これが一番最初に社内で作った試作品です。パワーアップということで、ソーラーパネル部分を2倍にしたらどうなるかなって。本体は紙粘土なんですけど(笑)。その後は3Dプリンターで試作品を7回ほど作ってもらいました。それでだいたいOKが出たあとは、金型を作って成形、金型を修正してまた成形。これを5回繰り返しました。何しろ色々と入れたい構造があるのに、歯ブラシですから実用的なサイズに収めなくてはならないんですよね。そのせめぎあいです。こんなに試作品を作る歯ブラシは、他にないと思いますよ。
この出会いがなかったら、N4は作れなかったと思います。
-開発にあたって、一番の課題はなんでしたか?
さきほど話したように、N4からは国内生産にすることを決めていました。そうすると、コストの関係で複雑な構造では作れない。しかし、SOLADEYの機能を考えると簡単な構造にはできなさそうだぞ、と。色々悩んで、ソーラーパネルを使用した他社の商品を買ってきて分解したりしていたんです。そうしたところ、とある製品が非常によくできていたんですよ。複雑な機能を持ちながら、構造としては子ども用プラモデルみたいに、パチンパチンとはめるだけ。これだ!と社内で盛り上がりまして、色々な経緯を経てその製品を作っている企業さんに設計から製造までお願いすることができたんです。この出会いがなかったら、N4は作れなかったと思います。
「そりゃそうやろ」って思いました(笑)。
- 出来上がったときはどんな気分でしたか?
どんな気分だったかな。うちの会社、皆デスクで歯を磨くじゃないですか(笑)。出来上がったのを社員全員に渡して、その場でシャコシャコ歯を磨いてもらったら、皆が「ああ、これツルツルになるなあ」って言いまして。普通の歯ブラシを使ってる人がSOLADEYを使ったら、ツルツルだ!って言うと思うんですが、当時うちの社員は全員SOLADEY-3を使っていたんです。ずっとSOLADEYを使ってた人が言うんだから間違いないと。ほんとにツルツルになるんですよ。でも自信があったから「そりゃそうやろ」って思いました(笑)。
国産にしたことで、高いレベルで品質を維持できています。
- N4が発売されて半年経ちましたが、反応はどうでしょう?
おかげさまで非常にご好評をいただいています。2,500円という価格はちょっととんがっているので、お客さんの反応はどうかなあと少し心配していたのですが。あとはN4が製造ラインに乗ってからの話をすると、国産にしたことで、何か問題があってもすぐに飛んでいけるし高いレベルで品質を維持できています。確かな品質を届ける、ブランディングという意味でも国内製造にしてよかったと思っています。N4のNは”NIPPON”の意味でもあります。
丁寧に歯を磨くことを応援しながら、
間接的にお客様自身を応援できたらいいですよね。
- 最後に、今後のSOLADEYの展開について簡単に教えてください。
N4を開発するにあたって、社内では「ライフスタイル自体が向上するような、“自分を磨ける歯ブラシ”」を作りたいと話していました。N4を作って、ご好評をいただいたことで、そのコンセプトはある程度受け入れられたのかなと思っています。今後はこのブランドイメージを大切にしながら、歯を磨くこと=SOLADEYと思ってもらえるように、ラインナップを広げていきたいと思っています。具体的には?まだちょっと秘密の部分が多いんですが(笑)。丁寧に歯を磨くことを応援しながら、間接的にその人自身を応援できたらいいですよね。
仕事に欠かせないアイテム
愛用のノート。「昔から、ヨコ罫じゃなくて方眼になっているノートにこだわりがある」とのことで、すべて5mm×5mmの方眼紙。SOLADEY N4制作中のラフスケッチもメモもこの中に。
デスクの上には光触媒や歯ブラシに関する本の他、ビジネス英語のテキストも。SOLADEYは海外でも展開しているため、商品に関しての質問は英文メールで送られてくるとのこと。必要に迫られて、だいぶ英語が鍛えられたとか。
デスク右端には、歴代のSOLADEYと共に他社のデンタルケア商品がずらり。日々の研究がこだわりの歯ブラシを生み出している。
株式会社シケン 代表取締役
池尻誉広
デスクで考えるより、現場に行くがモットー。